【獣医監修】犬の分離不安と留守番は関係ある?原因・症状・対策・予防まとめ

【獣医監修】犬の分離不安と留守番は関係ある?原因・症状・対策・予防まとめ

一緒にいないと寂しがり、外出をためらうほど近くに寄り添ってくる愛犬。

全幅の信頼を寄せてくれているようでたまらなくかわいいですよね。

しかし、留守番前後にみられる愛犬の飼い主への行動が、一人でお留守番しないといけない不安や恐怖にからくるものだとしたらどうでしょうか。

そもそも犬は、もともと群れで生活していた動物です。

1人でのお留守番が必須スキルである現代の犬たちにとって、分離不安症はいつ発症してもおかしくない病気だといえます。

適切な対処を行うことにより、お留守番をする犬の負担を減らすことができます。

そこで本記事では、犬の分離不安について原因や対策、予防法を解説していきます。

留守番のときに夢中になれるおもちゃも紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。

そもそも犬の分離不安症とは

犬の分離不安症とは

分離不安症とは、飼い主と離れることへの不安から、精神的・肉体的に不安定になる状態です。

不安や恐怖でパニックに陥り、様々な問題行動を引き起こします。

主に飼い主の外出前後30分でみられることが多く、「分離不安障害」とも呼ばれる症状です。

分離不安になりやすい時期

分離不安になりやすいタイミングとしては主に、

  • 子犬時代
  • シニアと呼ばれる7歳以降の犬

が挙げられます。

子犬は社会化期の触れ合いが成長過程でとても大切です。
他者への信頼や安心感を獲得する時期ともいえます。

また、7歳以上の犬は、徐々に体調の変化が起き始める年齢です。
精神的・肉体的な不安定感から、分離不安につながることも少なくありません。

犬の分離不安の原因は?お留守番以外にも原因がある?

犬の分離不安の原因は?お留守番以外にも原因がある?

そんな分離不安になる原因は具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。

犬の分離不安の主な原因は長時間や頻繁なお留守番が考えられます。

また、お留守番以外の原因として、

  • 成育環境
  • 飼い主による過剰な甘やかし
  • 生活環境の変化
  • 恐怖体験
  • 加齢・体調不良

などが挙げられますので、1つずつ解説していきます。

成育環境

犬にとって社会性を身につけるための時期は、社会化期と呼ばれる生後3週齢~12週齢頃です。

この期間に他者(犬・人など)との十分なかかわりが持てなかった場合に、分離不安になることがあります。

信頼できる相手が見つからず、常に寂しさを抱えている状態です。

飼い主による過剰な甘やかし

「犬の要求にすべて応えることが最善」という考え方が、分離不安の原因となることがあります。

「甘やかすこと」と「かわいがること」は、似ているようで全く異なる種類の対応です。

犬主導の生活を続けることは、外出先での問題行動など更なる悩みの種になりかねません。

生活環境の変化

引越しや、急な留守番時間(・日数)の増加といった変化も、分離不安に陥るきっかけとなります。

子どもが生まれ、在宅中にもかかわらず接する時間が以前より極端に減った場合も同様です。

また、ペットホテルの宿泊や、動物病院での入院がきっかけとなる場合もあります。

恐怖体験

留守番中に雷などの大きな音がしたなどの経験も、分離不安の原因の1つです。

おなかがすいているのに飼い主が帰ってこないといった負の感情も、発症のきっかけとなり得ます。

加齢・体調不良

視力低下や耳が聞こえにくいという加齢にともなう症状が原因で、分離不安になることもあります。

飼い主の気配を今までのように感じ取ることができず、不安感が強くなるためです。

認知症などの病気によって引き起こされる場合もあります。

犬が分離不安症になったときの症状

犬が分離不安症になったときの症状

続いては、実際に犬が分離不安症になった時にみせる症状です。

飼い主の不在時と、帰宅後・在宅時の2パターンに分けて解説します。

【飼い主の不在時】

  • 排泄の失敗・頻度の増加
  • 吠え続ける・遠吠え
  • 手足などを執拗に舐める
  • おもちゃ・家具などの破壊行動

【飼い主の帰宅後・在宅時】

  • 嘔吐・下痢などの体調の変化
  • 飼い主の姿が見えないとパニックになる
  • どこまでも後をついてくる

それぞれ順番にみていきましょう。

【飼い主の不在時】

排泄の失敗・頻度の増加

飼い主が在宅中であれば問題ないトイレも、失敗する回数が増えるのが分離不安の症状です。

また、少しでもかまってもらいたいという欲求から排泄の頻度が増加します。

吠え続ける・遠吠え

主に留守番開始10分以内に多くみられる症状が、「吠え」です。

数十分にもわたって吠え続けたり、遠くの仲間を呼ぶような遠吠えをしたりします。

手足などを執拗に舐める

退屈、あるいは寂しさから、同じ個所をなめ続けたり噛み続けたりします。

ひどい場合には出血するほどの傷になることがあるため、注意が必要です。

おもちゃ・家具などの破壊行動

歯の生え代わりの時期の子犬や、運動不足が原因による破壊行動もあります。

ただ、飼い主の外出前後で破壊行動が顕著になる場合は、分離不安の症状といえるでしょう。

続いて、飼い主の帰宅後や在宅時にみられる分離不安の症状です。

【飼い主の帰宅後・在宅時】

嘔吐・下痢などの体調の変化

1人での不安や寂しさから、嘔吐、下痢などの身体的な不調がみられる場合があります。

ただ、一度では別の原因での体調不良なのか、分離不安によるものかどうかの見極めは困難です。

外出のたびに体調不良が続く場合は、分離不安の可能性があります。

飼い主の姿が見えないとパニックになる

外出時はもちろん、トイレに立つ、キッチンに行くだけでも泣き叫んでパニックになる犬もいます。

このような状態になると、常に犬と一緒に行動せざるを得なくなり、外出もままならなくなるでしょう。

どこまでも後をついてくる

トイレやキッチンへの室内の移動に、常に犬がついてくるのも分離不安の症状です。

飼い主がそのままどこかへ行ってしまうのではないか、という犬の不安感のあらわれともいえます。

分離不安になりやすい犬の特徴

分離不安になりやすい犬の特徴

分離不安になりやすい犬は、飼い主の接し方などにおいて以下のような特徴があります。

  • 過剰に甘やかされている犬
  • 厳しくしつけされすぎている犬
  • 性格的に甘えん坊・寂しがりの犬
  • 常に人がいる家で暮らす犬

飼い主への依存が強くなればなるほど、分離不安になりやすいでしょう。

厳しいしつけの影響で、常に飼い主の顔色をうかがうようになることもあります。

また、留守番が長い家とは反対に、常に家に誰かがいる状態の家も注意が必要です。

飼い主が常にいる状態を「当たり前」と思って過ごす犬は、留守番の概念がありません。

そのため、5分程度の外出でも分離不安の症状をみせることがあります。

【具体例】犬が分離不安に陥りやすいタイミング

【具体例】犬が分離不安に陥りやすいタイミング

続いては、犬が分離不安の症状がでるタイミングを具体例と共にご紹介します。

引き金となる事柄

具体例

外出する際にする決まった行動

  • スーツを着る
  • バッグを持つ
  • 化粧をする 

玄関チャイム

  • 荷物を置く際の音(姿が見えない恐怖)

留守番中の恐怖体験

  • 大雨の音
  • トラックの音
  • 外から聞こえる犬の声

飼い主が変わる

  • 里親
  • 死別

人にとっては理解できることでも、犬にとっては不安や恐怖を煽るできごとになりかねません。

上記のことが起きる場面では、犬のことをよく観察した上で適切なフォローが必要です。

犬の分離不安の対策法

犬の分離不安の対策法

すでに分離不安になっている犬への対策は主に以下のとおりです。

  • 留守番の練習をする
  • 外出前の適度な運動
  • 犬の性格に合わせて外出時の声かけの有無を決める
  • 帰宅時は犬が落ち着いてから声をかける
  • テレビをつけたままにする
  • 場合によっては投薬治療も

1つずつ解説していきます。

留守番の練習をする

まずは、飼い主と離れる時間が「苦痛」に感じないように練習することが大切です。

犬の様子によって変わりますが、練習は以下の流れで行いましょう。

  1. 好きなおやつを食べているときに10秒ほどいなくなる(おもちゃも可)
  2. おやつ(おもちゃ)に夢中になっている間に戻ってきて、しっかりと褒める
  3. 徐々に部屋から離れる時間を長くしていく
  4. 家から出てみる(吠えていないか確認)
  5. 家から離れる時間を少しずつ伸ばしていく

このときに大切なことは、時間もタイミングもランダムで行うことです。

その場から離れることを事前に察知されてしまっては、練習の意味がありません。

犬にとって「気づいたらいなかったけれど、不安にはならなかった時間」を作り出すことが重要です。

外出前の適度な運動

留守番前に、散歩や体力を使うような遊びをすることも分離不安の改善に効果的です。

心地よい疲労感を与えることで、留守番中の時間が休息の時間となります。

犬の性格に合わせて外出時の声かけの有無を決める

外出する際の声かけをするか、しないかは犬の性格によって異なります。

「いってきます」の一言で切り替えられる犬もいれば、不安が一気に高まる犬もいるためです。

自分の愛犬がどのようなタイプか、把握しておく必要があります。

帰宅時は犬が落ち着いてから声をかける

帰宅後の勢いそのままに、犬を抱っこしたりなでたりすることは控えてください。

ひと呼吸を置いて、犬がある程度落ち着くまで待つことが大切です。

おとなしくなったところで、留守番ができたことをゆっくり穏やかに褒めましょう。

テレビをつけたままにする

テレビを活用し、人の気配を残すことによって落ち着いて留守番できる犬もいます。

効果は犬によって異なるため、練習段階でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

場合によっては投薬治療も

分離不安の症状には、軽度~重度まで様々な症状がみられます。

そこで、上記のような行動療法でも効果が出ない場合に行うのが投薬治療です。

犬の分離不安症(猫も含む)では、精神安定に効果のあるセロトニンという脳の神経伝達物質を増やし、ストレスや不安感を減らす薬やサプリメントなどが用いられる場合があります。

獣医師の指導のもと、あくまでも行動療法の補助として投与します。

犬を分離不安にさせないための予防法

犬を分離不安にさせないための予防法

分離不安にしないための方法として重要なことは、「留守番を特別なことにしないこと」です。

これから留守番が増えたり、生活サイクルが変わったりと環境の変化がある場合は、早めに対処していきましょう。

具体的な予防法は以下のとおりです。

  • 飼い主は必ず戻ってくるという安心感を与える
  • 同じベッドで寝ない
  • 在宅中も1人でいる時間を作る
  • 犬にとって飼い主を「自分の全て」にしない

1つずつ解説します。

飼い主は必ず戻ってくるという安心感を与える

先述した留守番の練習を行うことは、分離不安を未然に防ぐ方法としても効果的です。

姿が見えなくても、外出しても、飼い主は必ず帰ってきてくれるという安心感を犬に与えます。

この時に抱いた安心感は飼い主への信頼へと変化し、しつけなど様々な場面で役に立つでしょう。

同じベッドで寝ない

接し方のメリハリをつけるといった意味で、同じベッドに寝ないことも分離不安を防ぐ方法の1つです。

もちろん、分離不安の心配がない場合は一緒に寝てもかまいません。

在宅中も1人でいる時間を作る

在宅中でも、あえて犬と接しない時間を作りましょう。

飼い主と犬がそれぞれ別のことをしていても気にしないという状況を、日頃から作っておくのです。

「1人でいることは普通のこと」という感覚が、分離不安を未然に防ぎます。

犬にとって飼い主を「自分の全て」にしない

犬の飼い主への依存は、お互いの生活の質を低下させます。

過剰な甘やかしなどによって、自立心が育たなかったときに飼い主への依存が起こるのです。

人には人の、犬には犬の世界があります。

どちらかに偏ることなく、尊重しあって生活できる環境を作り上げていくことが大切です。

留守番中に夢中になれるおもちゃ

留守番中に夢中になれるおもちゃ

留守番のたびにおやつをあげることは、肥満や体調不良のもととなります。

そこで、留守番のときに重宝するおすすめおもちゃのご紹介です。

コング

アメリカ生まれの知育玩具で、様々な形、色、硬さの商品が販売されています。

留守番のときに与えると、おやつやフードを取り出すことに夢中になるおもちゃです。

あまりに集中していて、飼い主の外出に気づかない犬もいるようですね。

種類としては、

  • コングの中の穴におやつペーストを塗るタイプ
  • フードを入れて転がして出すタイプ

などがあるため、犬の好みに合わせて選びましょう。

ガム

こちらも留守番の際に長時間集中して噛んでいられるものです。

骨の形をしているものなど、様々な種類があります。

 

コングもガムも、犬によっては誤飲の恐れがあります。

犬の性格や、与えるもののサイズを確認しましょう。

少しでも不安がある場合は与えるのをやめ、帰宅後にたくさん遊んであげてくださいね。

愛犬のお留守番用フレグランススプレー

セントアンドのフレグランススプレー

飼い主のいる安心感に香りをつけるScent andのフレグランススプレー。

お仕事などの外出前にワンプッシュ。

自宅で簡単に安心のお留守番環境を目指しましょう。

まとめ

分離不安を改善するために大切なことは、時間をかけて根気よく犬に接することです。

犬の中にある不安や恐怖を取り除くことは、簡単なことではありません。

1日や2日では、劇的な変化はみられないでしょう。

しかし、毎日適切な接し方を続けることで、犬の気持ちも少しずつ変化します。

対処方法が分からないときには自己解決しようとせず、専門家に相談することも1つの方法です。

お互いのことをより深く理解し、快適なドッグライフを送りましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。